12月2日、自民党・税制調査会の2021年度税制改正に関する議論内容が報じられました。
「2020年代半ばの開業を目指すIR内のカジノにおいて、利用者の勝ち分を課税対象とするか否か」が議論の焦点となっています。
財務省は国内外の利用者いずれも課税対象としたい考えを示していますが、与党のIR事業関係者らは「海外のカジノでは外国人利用者を非課税としているケースが多い」と指摘。
今後の調整内容としては、「国内のカジノ利用客に対しては、他のギャンブルと同様に課税」「訪日客のカジノ勝ち分は一律で非課税」とする方向で議論がまとまる見込みです。
目次
カジノ税制に関する議論の経緯
2019年11月に財務省は、カジノに関する税制について、以下の提案内容を示しています。
- 日本居住者:カジノ勝ち分(チップ購入額と退場時の払戻金の差額)を一時所得として課税。利用者の全プレイ履歴は、マイナンバーカードを用いて記録する。
- 非居住者:カジノ所得に対して源泉徴収を行う。
上記の財務省の提案内容に対し、IR法令に関わる与党の国会議員らは問題点を指摘。
「国内の公営競技や、国際的なカジノの課税制度から逸脱している。訪日客のカジノ利用意欲ならびにカジノ事業者の投資意欲を委縮させる」として、アメリカの税制に倣った以下の代替案を提示しました。
- 日本居住者:公営競技の一時所得の扱いに合わせ、1ゲームの大きな勝ち分を課税対象とする。マイナンバーカードは入退場管理のみに使用し、プレイ履歴の把握には用いない。
- 非居住者:スロットマシンなどでの1ゲームの大当たり分(5,000ドル以上または賭け金の300倍以上)のみを源泉徴収の対象とする。
一方で中国やシンガポール、ヨーロッパ諸国などでは外国人利用者のカジノでの勝ち分に対し、一律で非課税としています。
これらの問題点の指摘及び国際的な競争力を考慮した結果、今回報じられている「外国人客は一律非課税」の方向で議論が進んでいます。
与党は税制改正の大綱について、2020年12月10日を目途に方向性を取りまとめた上で、12月中には閣議決定を行う見通しです。