8月22日に行われた横浜市長選で、横浜市立大学教授の山中竹春氏が当選しました。
山中氏は立候補時からIR誘致反対を掲げており、当選後の会見でも「誘致は行わない」と表明していることから、横浜市のIR事業は中止となる見通しです。
IR反対派の支援のほか、「コロナ専門家」の実績が当選のカギに
山中氏は早稲田大学大学院修理工学研究科を修了後、データサイエンティストとして医療や福祉分野に従事しており、最近では新型コロナウイルスワクチンが変異株にも有効に作用するというデータ解析結果を発表し注目を集めました。
また、市長選でも「唯一のコロナ専門家」であることを前面に打ち出し、ワクチン接種の加速や感染者の治療機会の確保、感染源のいち早い特定などを行なっていくと述べていました。
新人として立憲民主党からの推薦で出馬し、投開票の結果33.59%(50万6,392票)の得票率を獲得し当選。
「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」や「横浜港ハーバーリゾート協会」といったIR誘致反対派からの支援を得ていたことに加え、この「専門家によるコロナ対策」が横浜市民から支持をされ当選に繋がったと考えられます。
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横浜IRは2者による提案審査が進行中、山中氏は誘致中止の意向
8月22日夜の記者団による取材で山中氏は、「横浜市としてIR誘致は行わない。この宣言を早期に出す」と話しており、翌23日に横浜市役所で当選証書を受け取った際にも「IR推進室の機能を停止し、事業者の選定作業も中止する」との考えを示しました。
山中氏は横浜市の財政課題対策の代替案として、IRからカジノを抜いた「ハーバーリゾート構想」を提言しており、8月30日の市長就任後、速やかにIR誘致撤回の手続きに入る意向です。
横浜IRは、資格審査を通過したゲンティン・シンガポールとセガサミーホールディングスのコンソーシアムともう1者(事業者名非公表)がすでに提案審査書類を提出しており、今夏に設置運営事業予定者が決定する見込みでしたが、いまだ審査結果は発表されていません。
山中氏がIR誘致を中止すれば、任期中の今後4年間は横浜IRが実現することはないと考えられます。
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横浜IR応募事業者の提案内容を展示 反対派からは批判の声も 7月27日から8月7日まで、横浜市役所にて資格審査を通過した2者による横浜IRのコンセプトや設置予定施設などの提案内容が展示されました。しかし、横浜市長選告示直前の実施だったことから、反対派からは「選挙利用だ」と批判も上がっていました。