大阪府・市は2021年12月、MGM・オリックスコンソーシアムと作成した大阪IRの素案を公開し、出資する関西企業20社を発表しました。
国への区域認定申請も4月に迫っている中、当サイトでは大阪府内在住の方々を対象に、大阪へのIR(カジノ)誘致についてどのように考えているのかアンケートを実施しました。
大阪・夢洲地区のIR(カジノ)政策に関するアンケートの実施概要と質問項目
今回実施した「大阪・夢洲地区のIR(カジノ)政策に関するアンケート」の概要と質問項目は以下のとおりです。
当アンケートの実施概要
調査期間 | 2021年11月17日(水)~2021年11月24日(水) |
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調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | 506サンプル |
調査対象 | 大阪府内在住の20歳以上の男女 |
対象内訳 | 20代男女 97名/30代男女 108名/40代男女 107名/50代男女 110名/60代男女 84名 |
基本情報 | 性別/年齢/年代/都道府県/職業/未既婚/子どもの有無 |
当アンケートの質問と回答まとめ
<当アンケートの有効回答数:506名>
- Q1:お住まいの地域は大阪市内・市外のどちらですか?
- 大阪市内 36.96%(187名)
- 大阪市外 63.04%(319名)
- Q2:普段ギャンブル(競馬・パチンコなど)をしますか?
- する 15.81%(80名)
- 日常的にしないが、経験はある 21.34%(108名)
- しない 62.85%(318名)
- Q3:大阪にカジノができることに賛成/反対ですか?
- 賛成 48.62%(246名)
- 反対 51.38%(260名)
- Q4:賛成/反対の理由を教えてください(自由記述)
- 賛成の理由:「経済効果が期待できそう」「大阪の活性化になる」etc.
- 反対の理由:「治安が悪くなる」「ギャンブル依存症の人が増える」etc.
- Q5:大阪以外の都道府県にカジノができることに賛成/反対ですか?
「場所による」の場合、都道府県名も教えてください- 賛成 43.08%(218名)
- 反対 52.37%(265名)
- 場所による 4.55%(23名)⇒北海道、神奈川県、沖縄県、和歌山県、東京都 etc.
- Q6:大阪府によって公開された「カジノを含む統合型リゾート(IR)に関する提案資料」をご覧いただいたうえで、感じた印象や意見を自由にご記入ください。
- 「きれいな施設でリゾート感がある」「大規模で驚いた」「楽しそうだがカジノはいらない」etc.
- Q7:大阪のIR施設の中で関心があるものを3つ選択してください
- カジノ 13.05%(137名)
- 夢洲シアター(劇場・映画館) 13.33%(140名)
- 飲食施設(ジャパン・フードパビリオン等) 16.76%(176名)
- ショッピング施設(ラグジュアリーブランド等) 17.24%(181名)
- 結びの庭(非日常リゾート空間) 10.48%(110名)
- 宿泊施設(エンターテイメントホテル、多世代型アクアリゾートホテル、VIP向け最高級ホテル) 11.33%(119名)
- バスターミナル・フェリーターミナル 2.29%(24名)
- 国際会議場・展示場施設 3.71%(39名)
- 特にない 11.81%(124名)
- Q8:大阪にIRができたら行ってみたいと思いますか?
- 行ってみたい 34.58%(175名)
- 行きたくない 33.99%(172名)
- カジノ以外のIR施設なら行ってみたい 31.43%(159名)
当アンケートでは大阪IRに関するイメージ以外にも、公表されている提案資料を実際に見ていただいたうえでの印象や感想も回答してもらいました。
賛成・反対意見の内容や提案資料についての感想を中心として、アンケート結果を詳しく紹介していきたいと思います。
クロス集計から見た賛成・反対の割合
今回のアンケートでは、大阪にIR施設ができることに対し、賛成・反対がほぼ半数ずつという結果となりました。
ここからは、それぞれの意見を年齢や居住地、ギャンブル経験ごとに傾向を見ていきます。
年齢別による賛成・反対の割合
年代ごとに賛成・反対意見の数を抽出すると、30代のみ賛成が過半数となりました。
ほかの年代では反対の方が多くなっていますが、それでも50%前後とほぼ拮抗しているといえます。
居住地による賛成・反対の割合
IR建設予定地が大阪市・此花区の夢洲となるため、居住地を大阪市内・市外に分けて意見をまとめてみました。
大阪市内在住者で賛成が僅差で上回ったものの、市内・市外ともに賛成・反対の比率に大きな差は出ませんでした。
IR建設地が居住地の近隣であるかどうかは、賛否に関係しないと考えられます。
ギャンブル経験別による賛成・反対の割合
意外にも、ギャンブル経験がある方でも3割以上がカジノに反対していることがわかりました。
詳しい理由については後述しますが、普段ギャンブルをする方でもカジノに対しては公営ギャンブルとは違った悪いイメージを持っている方が多いようです。
一方で、「ギャンブルをまったくしない」という方でも4割近くがカジノに賛成をしています。
さらに、「大阪にIRができたら行ってみたいか」という質問の回答をギャンブル経験別に集計すると、
ギャンブルをしないと回答した方の57%が「行ってみたい」「カジノ以外の施設なら行ってみたい」と思っていることが明らかになりました。
この結果から、ギャンブル経験の有無に関わらず大阪IRへ関心を持っている方が多いことがうかがえます。
大阪IRに対するおもな賛成・反対理由
賛成・反対の理由について、それぞれ多かった内容を集計しました。
当アンケートに寄せられた、それぞれの具体的な理由についてもご紹介します。
賛成理由について実際の回答
- 活気を取り戻して欲しいと思うので、大阪が賑わうひとつの手段であるなら賛成(50代/女性)
- マイナス面もあるが、経済効果があるのが一番の理由(60代/男性)
- インバウンドで景気が良くなる、外資が獲得できる(20代/男性)
- 海外に行きにくくなった今、貴重な身近のレジャーになりそう(60代/男性)
- カジノだけではなく、リゾートとして盛り上げていけたら良い(30代/女性)
- 使っていない土地を活用できるので、良い誘致だと思う(20代/男性)
賛成理由でもっとも多かったのは、雇用や税収の増加なども含めた「経済効果が見込める」という意見でした。
次に多くみられたのは、周辺地域や大阪全体がにぎわって「地域活性化に繋がるから」という理由です。
また、「大阪にUSJ以外のレジャー施設が欲しい」「遠出しにくくなったので、実現したら地元で楽しめる」といった、新型コロナウイルス感染拡大による旅行や遠方への外出自粛を踏まえたうえでの賛成理由もみられました。
「その他」の中には、「府・市の管理が行き届くため、パチンコや公営ギャンブル場より健全に思うから」「夢洲を有効活用できる」といった意見もありました。
反対理由について実際の回答
- 治安が悪くなりそう、風紀が乱れそう(60代/男性)
- 依存症になって借金をしたり生活が破綻する人が増える(40代/女性)
- そもそもギャンブルが嫌い、興味がない(60代/女性)
- 反社会勢力がやるイメージ、犯罪の温床になりそう(40代/男性)
- 外国人観光客が増えるとまたコロナの蔓延が心配(20代/女性)
- インフラ整備などほかのことにお金を使ってほしい(50代/女性)
反対理由の中では、治安面を心配する意見が圧倒的に多くみられました。
2番目に多かった「その他」の意見には、「海外からの観光客増加によって新型コロナウイルス感染者が増えるのではないか」という心配や、「ギャンブルが嫌い」「自分には関係のない所だから」といった声などがありました。
また、「イメージが悪いから」という理由もありますが、やはりカジノに対しては治安悪化やギャンブル依存症などの懸念から、ネガティヴな印象を持っている方が少なくないようです。
大阪IR提案資料を見たうえでの印象・意見・感想など
次に、実際にMGM・オリックスコンソーシアムによる提案資料について、自由に記載していただいた感想をまとめました。
肯定的な意見・感想
- 規模が大きくイメージが少し良くなった(60代/女性)
- かなり豪華できれい、外国のよう(20代/女性)
- レストランや買い物ができるお店も充実しているので、カジノ目的でなくても楽しめそう(40代/女性)
- 思っていたものと違ってテーマパークみたい、楽しそう(30代/女性)
- ギャンブル依存症対策など、しっかりした計画が練られていると感じた(60代/女性)
- 周辺施設も賑わい、大阪が活気付きそう(30代/男性)
肯定的な意見の中で一番多かったものが「初めて国際会議場や商業施設などもあることを知った」、「カジノ以外でも楽しめそうで、普通の都市計画に近いと感じた」といった、「これまでのカジノのイメージとは違っていた」という内容です。
また、ギャンブル依存症についても入場管理や利用制限措置などの対策がとられていることから、「IRに対する考えが変わった」という意見もみられました。
否定的な意見・感想
- リゾート施設を作るのは良いが、カジノはなくていい(60代/女性)
- 建設費用に対して見込まれる経済効果の根拠が不明(40代/男性)
- 治安維持や犯罪対策について具体案がない(40代/女性)
- 外国人観光客が増えることに不安がある(50代/男性)
- もっと違うことにお金をかけて欲しい(30代/女性)
- 府民に対して何のメリットがあるのかがよくわからない(60代/男性)
否定的な意見では、「観光施設を作ること自体は賛成だが、カジノはいらないのでは」という意見がもっとも多く寄せられました。
この資料では治安対策の詳細が曖昧なこともあり、まだカジノに対するマイナスイメージが払拭されない方が多いのではないかと考えられます。
ほかにも外国人観光客のマナーや、新型コロナウイルスの感染拡大が起こり海外からの集客が見込めない場合を懸念する声もありました。
また、当サイトが以前実施した「カジノに関する意識調査」では「日本にカジノができても行きたくない」という方が7割以上でしたが、今回のアンケートでは「大阪にカジノができたら行ってみたいorカジノ以外の施設なら行きたい」と答えた方が6割以上を占めました。
大阪IRの中で興味のある施設についても、ショッピング施設・飲食施設・夢洲シアターが上位となっており、カジノ以上にほかの施設への関心が高いこともわかりました。
調査の実施概要詳細
調査主体 | 日本カジノ研究所 |
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調査内容 | 大阪・夢洲地区のIR(カジノ)政策に関するアンケート |
調査地域 | 大阪府内 |
調査対象者 | 20代以上の男女 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2021年11月17日(水)~~2021年11月24日(水) |
有効回答数 | 506サンプル |
回答者属性 | 20代男女 97名/30代男女 108名/40代男女 107名/50代男女 110名/60代男女 84名
大阪市内在住 187名/大阪市外在住 319名 |