3月8日、北海道・鈴木直道知事は苫小牧市・岩倉博文市長と会談を行い、2022年4月期限のIR誘致申請を見送る旨を伝えました。
鈴木知事は誘致見送りの理由として、「新型コロナウイルスの拡大により、各IR事業者の経営状況に影響が出ており、検討期間が不足している」と述べています。
しかし将来的なIR再挑戦については断念しておらず、「2020年代後半に予定されている誘致区域数の再検討に向け、北海道らしいIRコンセプトを構築していきたい」との意欲も強調しています。
岩倉市長は今回の見送り表明を受け、「非常に残念だ」とコメント。
その上で次回のIR再挑戦に向けた作業を早期に始めるよう促しましたが、鈴木知事は具体的な作業開始時期については明言しませんでした。
2021年度予算案にIR費用は計上されず
これまでも鈴木知事は、IR開発における環境問題を懸念材料とし、「IR誘致申請に必要な検討期間が十分でない」と慎重な姿勢を見せていました。
一方で岩倉市長は、道のIR再検討に向け積極的な働きかけを続けており、北海道のIRに向けた動きは平行線を辿っていました。
しかし北海道のIR誘致見送りについては、2月19日に発表されている2021年度予算案でも示唆されています。
予算案では新型コロナウイルス対策として、医療体制強化や経済支援などの項目で6,431億円を計上。IR関連の諸費用については、予算案に含まれていませんでした。
鈴木知事は新年度予算案について、「コロナ禍における危機回復と、感染症に強い社会の構築を目指し、新型コロナ収束後の未来を切り拓くための予算」と述べました。
IRについては「新型コロナウイルスの拡大により、今後の展開が見通せない」という理由で、直近の経済対策としては盛り込めなかった形となります。
予算案公表後も岩倉市長は誘致を諦めない姿勢を示していましたが、今回の鈴木知事との会談により、誘致見送りが正式に決定。
北海道がIR誘致から撤退し、現在は大阪・横浜・長崎・和歌山・東京・愛知が候補地として残っています。その中で東京・愛知は新型コロナなどの対応に追われ、IR誘致に向けた新たな動きはストップしています。
今後北海道のように誘致から撤退するのか、改めて誘致に向けた動きを活発化させるのか、新型コロナの状況によって変動していくものと見られます。