大阪府・市が進めるIR誘致に関して、PR業務などを行う事業者に選定されていた読売連合広告社が、契約を辞退したことが明らかになりました。
読売連合広告社は、読売新聞大阪本社の100%子会社。今回の辞退について、「新聞社の関連会社として、社内検討が不十分だった」としています。
辞退理由は「依存症への懸念をめぐり、IRの賛否が分かれている」こと
大阪府・市は今年2月、府民にIR誘致の意義や効果などをPRする事業者を募集。応募のあった6事業者の中から、読売連合広告社を選定し、5月2日に公表していました。
読売連合広告社は5月8日に臨時取締役会を開き、契約手続きを進めるかどうか討議しましたが、最終的に契約の辞退を決定しています。
同社は9日にIR推進局へ「辞退承認申請書」を送り、11日に承認を得たことを発表しました。
辞退理由については、「大阪IRはギャンブル依存症の懸念などをめぐって、住民の間でなお賛否が分かれている状況。新聞社の関連会社として、現状況を踏まえた社内検討が不十分であったと判断した」とコメントしています。
読売連合広告社は当初、IRに関する駅構内のポスター設置や、動画でのPR業務などの実施を予定していました。
大阪府・市は代わりとなるPR事業者として、次点候補者だったJR西日本コミュニケーションとの交渉を進めるとしています。
大阪府・市のギャンブル依存症対策について
今回の契約辞退に至った理由の1つである「ギャンブル依存症への懸念」については、大阪のIR計画認定後も、府民やカジノ反対派の団体からさまざまな声が挙がっています。
大阪のIR整備計画では、依存症対策として「7日間で3回、28日間で10回以内」というカジノ入場の制限を設けることや、ATMを設置しないことなどを明記しています。
また、カジノ開業までに「大阪依存症センター(仮)」を設置し、依存症の予防啓発に努めるとしました。
しかし依然として、「IRが依存症の入り口になる」「カジノを作らないことが一番の依存症対策」などの見解も指摘されています。
観光庁も大阪のIR計画認定にあたり、「ギャンブル依存が疑われる者の割合を調査し、結果を踏まえ実効性のある対策を定期的に検証し、必要な措置を講ずる」ことを条件として提示しており、今後の依存症対策の具体化が求められます。