大阪府・市は2023年1月25日に行われた「大阪MICE戦略検討会」で、国際会議や展示会などのMICE誘致促進に向けた戦略案を公表しました。
この戦略案では、2032年までに府内での国際会議開催件数で世界10位以内を目指すとしており、3月までに成案をまとめる方針です。
展示会開催への補助制度を拡充、今後は通信設備の強化も
府・市がまとめた今回の戦略案は、大阪市此花区・夢洲に誘致を進めているIRの開業が前提となっています。
MICEは開催前後を含めた観光や宿泊需要が見込めることから地域への経済波及効果が高いとされているため、市は一定の基準を満たした展示会の開催に最大1,000万円を補助する制度を用意。
さらに会場とオンラインの両方で開催する「ハイブリッド開催」に対応するための通信設備の強化や、産学官連携でMICE誘致に取り組むタスクフォースを2023年度中に設置するとしています。
府・市は世界10位以内のMICE開催数目指すも会場規模に課題
府によると新型コロナウイルス感染拡大前の2019年に府内で開催した国際会議の件数は300件で、都道府県別で5位となっています。
また、国際機関による集計では同年の都市別開催件数では世界95位、アジア・オセアニアでは22位という結果に留まっています。
市は補助金などの支援策を拡充し、2032年までに世界10位以内、アジア・オセアニアでは1位になる目標を掲げていますが、MICEについては東京都も2030年までに世界3位以内を目指すとする戦略案をまとめており、都市間競争が激しい状況にあります。
また、大阪市住之江区の「インテックス大阪」は府内最大となる約7万㎡の展示面積を有していますが、韓国・タイ・シンガポールなどには10万㎡を超える大型施設も多いことなどから、25日の「大阪MICE戦略検討会」出席者からは「展示場の規模が国際的な競争力を持つレベルには達していない」との指摘も上がりました。
IR開業時に新設予定のMICE施設も約6万8,000㎡規模で海外の施設に比べると見劣りするため、会場整備も課題となっています。