長崎IRをめぐり長崎市内の市民団体は6月2日、認定審査に対応するコンサルタント料約1億円の支払い停止を求め、県監査委員に住民監査を請求しました。
市民団体はコンサルタント料について「必要性が認められず、支出は地方自治法などに違反する」としています。
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「認定の可能性が低い」コンサルタント料の支払い取り止め請求へ
長崎県は佐世保市・ハウステンボスに誘致を進めるIR事業について、2022年4月に国へ区域認定申請を行いました。
しかし、初期投資額約4,383億円の調達計画に関しては「外資系企業や大手国内企業からコミットメントレター(融資・出資の同意書)を取得している」とする一方で、詳細な金融機関や企業名は未だ非公表としています。
市民団体幹事の今井一成弁護士は、資金調達計画が不明瞭なまま区域整備計画が県議会で可決されたことを問題視し、「コミットメントレターでは資金調達性の確実性を欠いている」と指摘。
「国に提出したコミットメントレターの内容によっては区域認定が受けられる可能性が低いため、認定審査のためのコンサルタント料は無駄な公金といえる」ことから、県が今年度の予算に計上したコンサルタント料約1億1,000万円の支出を停止するよう住民監査請求を行いました。
今井氏は、コミットメントレターなど資金調達計画の詳細や、IRの経済波及効果を裏付ける公的資料などの開示も合わせて請求。
「レターを公表できないなら、県の監査委員が適正な内容であるかチェックしてもらいたい」と述べていますが、監査委員を務める県議がIR賛成の立場であることから、弁護士による外部監査を求めています。
この請求を受け、長崎県のIR推進課は「国の区域認定を得るために手続きを粛々と進めます」とコメントを発表しています。
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