最終更新日:2021-09-08
IR事業をめぐり収賄罪・組織犯罪処罰法違反罪に問われた秋本司衆院議員について、東京地裁は9月7日、懲役4年、追徴金約758万円の判決を言い渡しました。
秋元被告は一貫して無罪を主張していましたが、現職国会議員が実刑判決を受ける異例の結果となりました。
秋元被告は収賄・買収容疑で2度の逮捕も無罪を主張
秋元被告はIR担当の内閣府副大臣だった2017年9月~2018年2月にかけて、カジノ参入を目指す中国企業「500.com」から講演料や旅費の名目で総額約760万円の賄賂を受け取った疑いで2019年12月に逮捕。
さらに保釈中の2020年6月~7月、贈賄側に現金を渡して虚偽の証言をするよう依頼したとして、組織犯罪処罰法違反罪(証人等買収罪)容疑で2020年8月に再逮捕されています。
贈賄側となった中国企業の元役員ら4名は秋元被告に賄賂を渡したことを認めており、すでに有罪が確定。
検察側は秋元被告に懲役5年を求刑していました。
しかし、秋元被告は自身の当日の日程表やスマートフォンアプリの記録から、「現金の受け渡しが行われたとされる議員会館には足を運んでいないし、旅費の支払いも秘書に任せていた」と全面的に無罪を主張していました。
一貫して無罪主張も認められず、公判では「著しく悪質」と厳しい非難も
東京地方裁判所の丹羽敏彦裁判長は、秋元被告側が証拠とする日程表や健康管理アプリの記録について「被告の当日の行動を正しく反映していない」ことから証拠能力を認めないとしました。
また、秋元議員に現金を渡したという贈賄側の証言については、「携帯電話でのメッセージのやり取りの記録などの客観的証拠に強く裏付けられており、嘘の証言を持ち掛けられても一切応じていないことから十分信用できる」とし、秋元被告による賄賂の受け取りや証人買収の事実があったと認定。
さらに丹羽裁判長は、「公人としての倫理観はおろか、最低限の順法精神すら欠如している。証人買収は前代未聞の司法妨害であり、ほかに類を見ないほど著しく悪質」と秋元被告を厳しく非難しました。
ともに収賄の罪に問われていた元政策秘書の豊嶋晃弘被告は、懲役2年執行猶予4年が言い渡されています。
秋元被告はこの実刑判決により保釈が取り消されたことから、公判後に弁護人が保釈を請求。
7日午後に東京地裁はこれを認めており、検察側は不服を申し立てましたが棄却されています。
秋元被告と弁護側は判決に納得がいかないとして東京高裁へ控訴、衆議院選挙にも立候補する意向を示していますが、野党は秋元被告に対し議員辞職を求めています。
IRを管轄する赤羽一嘉国土交通大臣は7日の記者会見で、「個別の事案の裁判所の判断については、所感は差し控える」としたうえで、IR事業の今後の手続きについて「当然のことだが、公正性、透明性を確保しながら、その審査の過程や結果については国民の皆様に十分、納得がいただけるように情報公開を進め、説明責任を果たしたい」と述べています。
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