カジノ法案が成立してから半年が経ちますが、まだカジノ建設に関する具体的な話題は上がってきていません。このことを不思議に思っている方も多いのではないでしょうか?
このカジノ法案は正式には「特定複合観光施設区域(IR)の整備の推進に関する法律案」といい、これを略して「IR推進法案」と呼ばれます。
IRとは、カジノを筆頭に、ホテルやショッピングモール、ビジネス関連施設を含んだ巨大な複合観光施設のことを指します。
カジノ法案という名称から誤解されやすいのですが、カジノ施設のみを作るわけではなく、巨大な観光施設の中にカジノが含まれているのです。
このIRを設置することによって、観光客の増加や雇用の創出、地方の活性化が期待できることから、政府はIR誘致を推進していたというわけです。
IR推進法案はわかりやすくいうと「これからIRを推進していきますよ」という大まかな枠を決めただけのいわゆるプログラム法にすぎません。
IRを実際に誘致するにあたって、詳細な規定を取り決めたものを「IR実施法」といい、現在はこのIR実施法について議論が交わされている状態です。
現在の主な議論内容は「免許制度」と「設置する場所」についてです。
まず免許制度についてですが、カジノで有名な米国ネバダ州やシンガポールを参考にした策定が進んでいるようです。 カジノ法案に関する議論の当初から、暴力団など反社会的勢力によるマネーロンダリングの温床になるのではないかという懸念の声がありましたが、この免許制度を導入することで解決していく方針のようです。
カジノ運営会社の財務情報や役員の交友関係まで審査したり、一定期間ごとの免許の更新を義務付けたりとかなり厳しい基準が設けられる見込みです。
設置する場所に関しては、今はまだ具体的な地名は挙がっていません。
観光客を多く呼び込みたい地方が積極的に誘致に名乗りをあげていますが、政府が示したIR誘致のガイドラインには大都市への誘致を優先するともとれる条件が書かれていたこともあり、最初のIRは大都市に設置される可能性が高いと考えられます。
現に、海外のカジノ関連企業の間では、「東京・横浜・大阪」が候補地として名前が挙がっているようです。
最初のIR誘致がどこになるのか、気になるところですね。
また、カジノ法案に関する議論の際にもっとも問題視されていたギャンブル依存症問題ですが、日本は現在すでにギャンブル大国であり、カジノを設置していない現段階においてもギャンブル依存症対策が不十分であると考えられています。
そのため、政府はIR実施法案と並行して「ギャンブル依存症対策基本法案」の整備も進めています。
これらの法案は、夏頃を目処に大枠を取りまとめ、秋の臨時国会で提出される見通し。日本初のカジノが出来るのは、まだ当分先のことになりそうです。