菅義偉首相は、10月28日の衆議院本会議における答弁で、IRに関する質疑に応答。
「IRは観光先進国を目指すうえで重要な取り組み」と述べ、今後のインバウンド復活に向け、法に則りIRの整備を進めることを改めて示しました。
政府は2016年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」にて、訪日外国人客数の目標を2020年に4000万人、2030年に6000万人と定めていました。 コロナ禍でインバウンドが停滞している現状においても、政府は2030年目標の6,000万人を堅持。
インバウンド復活に向けた対策は、2020年内にも取りまとめられる見込み。その中にIRも組み込まれることが予想されます。
菅首相は「日本型IRは、国際会議場や大型宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設とする予定。日本が観光先進国となるためにも重要な取り組み。今後ともIR整備法などに基づき必要な手続きを進める」「インバウンドが戻ってきた時に備え、こうした施設を整備することは地域経済に大きな波及効果がある」と発言。
IR整備を進めつつ、世界レベルの宿泊施設を各地に50ヵ所程度整備することを目指す方針です。
世論の賛否は数年間大きな変化なし
菅首相は以前からIRに積極的なことで知られ、菅内閣となってからはコロナ禍により滞っていたIR基本方針のスケジュールが確定するなど、政府のIR政策が再始動している様子が見られます。
一方、着々とIR政策の準備を進める政府に対し、国民の賛否はIR実施法の成立前からここ数年あまり変化が見られていません。
今年1月に実施されたメディア各社の世論調査の結果は下記のようになっています。
- テレビ朝日系
IR推進に・・・納得する25%/納得しない59% - 読売新聞社
IR推進に・・・賛成30%/反対58%
さらに昨年、2019年10月に時事通信社が発表した世論調査結果は下記の通り。
実施法案成立以前の2018年3月に行われた共同通信社による世論調査は、下記の結果となっています。
- 日本でのカジノ解禁に・・・賛成26.6%/反対65.1%
このように、実施法案の成立前から、賛成約20~30%/反対約60~70%という比率は大きく変化していないことが分かります。
IR政策の推進に国民の理解は不可欠
世論調査はメディア各社などにより定期的に実施されているものの、IRに関する考え方は、年代や性別、知識の有無によっても異なることが考えられ、ターゲットや設問により結果に偏りが生じる場合があります。
例えばインターネット調査では若年層、賛成票に寄りやすい。また経済界や企業調査では賛成が多数。
逆に電話調査などでは高齢者や主婦などが多く集まり、反対票が増えやすくなる傾向にあります。
当サイトで実施したインターネットによる意識調査でも、男性よりも女性の方がカジノに対してマイナスイメージを持つ傾向にあるという結果が出ています。
【参考】カジノに関する意識調査・日本にカジノ「行かない」7割
また、IRに反対と答えた人に、IRについて簡単に説明すると賛成に転じる場合もあることも調査からわかっています。
国がIR政策を進める上で、候補地となる各自治体の住民の賛成が得られるかどうかは非常に重要。
数年間で賛否の割合が変化していないこの現状で、どのように今後国民の理解を深めていくかが大きなカギとなると考えられます。