9月30日、愛知県議会が令和2年9月定例議会・本会議を開催し、IRの現状について報告しました。
愛知県は特定複合観光施設について、常滑市に位置する「空港島」の利用可能な県有地(約50ha)への誘致を検討しています。
定例議会ではIR推進反対派である新政あいち所属の議員の質問に対し、県政策企画局長は引き続き調査と研究を続行すると答弁しました。
コロナウイルスの影響がIR事業者にも及んでいること、そして国の基本方針が決定していないことから、大きな前進がないと言及しています。
愛知県:IRの調査・ヒアリングを続行し誘致を検討中
今回の答弁で、愛知県は2019年12月20日~2020年5月末まで行った民間事業者からのIR意見募集について成果も公表しました。
募集の際に意見を求めた項目は以下の通りです。
- 基本コンセプト
- 市場分析
- 全体計画と施設計画
- 事業スケジュール
- 事業計画
- 事業効果
- 事業実施体制
- 懸案事項対策等
- 地域の魅力を高める取組
この意見募集において、IR整備や運営の主体となることに関心を持った海外含む法人等が4者、そして個別ノウハウ知見を有する国内法人が9者、計13者が参加申し込みを行ったと発表しました。
しかし新型コロナウイルスの影響は大きく、とりわけ海外事業者において、市場性や事業性の検討に限界があったとしています。
そして事業者についてのヒアリングも引き続き行っていく旨を述べました。
この愛知県が行ったIR意見募集は当初、3月末までと予定されていましたが、国の基本方針の決定が延期していることを理由に期限が延ばされていました。
政府:延期中の基本方針決定は「現時点では未定」
基本方針など国のスケジュールが、愛知県をはじめとする各自治体に影響を及ぼすなか、政府は停滞している「基本方針時期」の現状について言及しました。
10月2日定例閣議を開催し、中谷一馬衆議院議員によって提出された「コロナ禍におけるカジノを含む統合型リゾート(IR)に関する質問」への答弁書を閣議決定。
そこで基本方針の決定や公表時期について「現時点では未定」であることが明らかにされました。
今後の政府の流れは、以下のようになっています。
- 国土交通省が新たな基本方針案を公表
- パブリックコメントを実施
- 国土交通大臣が基本方針を策定
- 策定された基本方針に加えて必要となる政令(IR整備法に関連した施行日を定める政令、申請期間を定める法令など)をIR推進本部・閣議で決定
2018年7月26日に公布されたIR整備法では、基本方針に関する部分を含んだ二章の施行期日を「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」としていました。
よって2020年7月には基本方針の決定が見込まれていたものの、コロナウイルスやIR汚職事件の影響で10月時点でも未定となっています。
首相交代によってIR推進本部に所属する菅氏が政権を握り、スピードアップが期待されたものの、海外事業者の入国が困難である現状では「まだ時間を要するのでは」「スケジュール感を見直すべきでは」との声も自治体・事業者からあがっています。