長崎県が佐世保市・ハウステンボスに誘致を進めるIRについて、県が事業予定者と締結した基本協定書を非公開としていた問題で、大石賢吾長崎県知事は今後も公開をしない考えを示しました。
長崎IRは現在、国の区域認定審査が行われていますが、融資・出資企業に関しても未だに公表されていません。
「非公表を前提」基本協定書は今後も公開しない方針
長崎県は2021年8月、事業者であるカジノオーストリアとのあいだで基本協定書を締結。
県によると基本協定書内では、県と事業者が負う義務や権利、計画が頓挫した場合の違約金などについて詳細に定められているとのことです。
しかし、同じくIR誘致を推進していた大阪府・市や和歌山県は基本協定書をホームページ上で公開していたことに対し、長崎県は内容を明らかにしていませんでした。
これを受け、一部メディアが2022年4月に基本協定書のほか、各文書の締結に関する協議録などの開示を請求しましたが、県は6月に「公にすることで法人の権利や競争上の地位などを害する恐れがある」として不開示を決定。
大石賢吾知事は、7月14日の記者会見で「事業者の公募の段階から外部に公表しないことを前提としている」と述べ、今後も公開しない意向を示しました。
IR候補地・ハウステンボスは香港の投資会社に売却へ
一方、大手旅行会社であるエイチ・アイ・エス(以下HIS)が、傘下でありIR建設予定地のハウステンボスを香港の投資会社に売却する方向で最終調整をしていることが7月21日に明らかになりました。
売却額は数百億円に上る見通しで、HISはコロナ禍で業績が悪化したことから売却で資金を確保するとみられています。
今後、ハウステンボスは投資会社の傘下で営業を継続しますが、長崎県はIRの初期投資額となる約4,383億円の出資・融資を行う企業の情報を公表していないことから、この投資会社がIR出資関連企業であるかは現時点ではわかっていません。
大石知事は区域整備計画が県議会で可決された2022年4月、「今後、開示しても良いという調整がついたところは、しっかり公表していきたい」と話していましたが、7月14日の記者会見では具体的な公表時期について「できるだけ早く」と述べるにとどめています。
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