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昨年秋頃から徐々に撤退する自治体が出てきたIR誘致レース。
今週はさらに宮城県と北九州市がIR誘致を見送る方針を示しました。
また、IR誘致において有力と思われていた大阪でしたが、大阪のIR参入に意欲を見せていた2社が、大阪のIR撤退を示唆するような動きも見せました。
宮城県「IR誘致は過大投資」との見通しを立て見送りか
東日本大震災の復興を目的としたIR誘致構想を立ててきた宮城県。
しかし1月27日、村井知事は定例記者会見にてIRの誘致について、ギャンブル依存症増加の懸念や、採算の観点などから「現実的にはかなり厳しい。今回手を挙げるのは難しい」との考えを示しました。
宮城県が先週21日に県議会・経済商工観光委員会にて公開したIR導入の可能性に関する報告書では、全体整備費用は3296億円かかると想定していました。
しかし、投資額の回収には最大46年程度かかる見通しを示し、過大投資となるとの結論に至りました。
宮城県は東北・北海道で唯一IR誘致を検討していましたが、誘致を見送れば、東北・北海道で誘致を検討する自治体は無くなる形となります。
北九州「現在の基準では実現が困難」とし、誘致断念
1月29日、北九州市議会にて北橋健治市長は、今回の申請を見送る方針を固めました。
これまで誘致の検討を行ってきた北九州市でしたが、開発計画案を庁内チームで検討した結果、IR施設の誘致は実現困難であると判断しました。
今回見送る結果に至った理由としては、以下の事柄が挙げられます。
- 候補地として検討していた、北九州空港島周辺に既存の施設があり、土地の確保が難しい
- 事業の採算リスクが高い
- 市民の合意形成が難しい
一方で、今後も内部の勉強は続けていき、国の施設基準が下がった段階で再検討するという姿勢も見せました。
九州のIR誘致を巡って長崎県と競合関係にあった北九州市でしたが、北九州市の撤退により、当初長崎県が戦略としていた「オール九州」で、再び統一されることが考えられます。
大阪IR参入意向の海外事業者2社が撤退示唆
大阪のIRへの参入意向を表している3社のうち2社が、1月29日に横浜市で開催された「第1回横浜統合型リゾート産業展」で、大阪のIRについて懐疑的なコメントを残しました。
現在大阪のIR参入に意欲を見せているのは、
- MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックス株式会社
- ギャラクシー・エンターテインメント・ジャパン
- ゲンティン・シンガポール・リミテッド
の3社で、このうちギャラクシー・エンターテインメント・ジャパンとゲンティン・シンガポール・リミテッドが横浜のIR展に出展しました。
2社は横浜でのイベントにおいて、昨年大阪で開催された同様のイベントと比べると、トップも参加するなどの力の入れようを見せており、横浜へのアピールを強めていることが伺えます。 ゲンティンは「このようなIRこそ我々が横浜で建設すべきIRだ」と強調。
ギャラクシーは大阪のIR開業に関し、「工期が短く、IRの質を担保できない」と述べ、撤退を仄めかすような発言も見られました。
横浜が誘致を決定してから、大阪からは現時点で合計3社のIR事業者が相次いで撤退し横浜に流れている状態。 現在大阪はRFPの登録期間中ですが、現時点での登録者は未だ居ません。
仮にゲンティンとギャラクシーの2社が撤退した場合、残る事業者はMGMのみとなりますが、MGMからの登録もまだ発表されていません。
順調に誘致レースをリードしているように見えた大阪ですが、工期の短さなどから不満の声もあり、陰りが見えてきています。
基本方針の先延ばしなどもあり、IR事業全体の勢いが停滞しつつある中、今後の政府の対応が問われます。