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大阪IR 土壌対策費用をめぐり住民監査請求 定期借地契約の差し止め求め|日本カジノ研究所

最終更新日:2022-05-19

大阪府・市が誘致を進めるIRについて建設予定地の土壌対策費用をめぐり、市民ら5人が事業者へ土地を貸す契約の差し止めを求め、5月11日、市に住民監査請求をしました。

市民らは、費用の増大の可能性や採算性が不明瞭であることから、市が土地改良に公費を投入するのは違法としています。

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夢洲の土壌対策費は約800億円 改善が見込めない場合は事業者の撤退も

IR建設予定地である夢洲は大阪市此花区に位置する人口島であり、現状では液状化の危険性や基準値を超える汚染物質の検出といった問題を抱えています。

松井一郎大阪市長は2021年12月に「事業者にIRが成り立つ土地を提供するのが、土地所有者としての責務」として約800億円の土壌改良費を大阪市で負担するとしました。

2022年2月に事業者である大阪IR株式会社と大阪府・市が締結した基本協定書でも、夢洲の土地課題が「事業に著しい悪影響を与える事象となった場合」や、「市が事業者と協力して適切な措置を講じない場合」には事業者側から協定を解除できる旨を定めています。

また、大阪IR株式会社代表取締役の高橋豊典氏は、3月の大阪市議会に参考人として招致された際に「夢洲は現在も地盤沈下が進んでおり、追加のボーリング調査を行っている。今後さらなる課題が出てきた場合は、対応の見極めをする時期が来るかもしれない」と、市が土壌対策費用を追加負担する可能性も示唆しました。

大阪IR 府・市と事業者が締結した基本協定書について詳しくはこちら

市民らは土壌対策費の公費負担は違法と指摘 住民監査請求へ

市民ら5人は、基本協定書について「地盤条件のすべてが市の責任になると解釈でき、費用が増大しても市が無制限に負担しなければいけない内容になっている」と指摘。

また、土地課題が解決しない場合や新型コロナウイルスの終息が見込めない場合は事業者が撤退するリスクなども挙げ、負担額が不明瞭な中で土地の賃料収入で採算が取れるとする市の見通しは適正ではないことも主張しました。

これらの点から、過大な支出を制限する地方財政法や地方自治法などに違反するとして、市民らは土地の定期借地権設定契約の締結差し止めを求め、大阪市に対して住民監査請求を行っています。

松井市長はこの請求を受け、「詳しい内容はわからないが、監査委員が判断すること」と述べたうえで、あくまで「予定している負担額の範囲内で土地改良を進める」としています。

市民らは請求が不本意な結果になれば、今後は住民訴訟も検討する方針です。

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