4月20日、和歌山県議会はIR区域整備計画を反対多数で否決しました。
県は2017年頃から和歌山市内の人口島である「マリーナシティ」にIR誘致を目指してきましたが、今回の否決により計画は白紙となりました。
市議会で可決も資金計画の懸念が拭えず 反対多数で否決へ
和歌山IR区域整備計画をめぐっては、3月30日の市議会では賛成多数で可決されていました。
4月19日に平から得たIR対策特別委員会では、事業者であるクレアベストニームベンチャーズ(以下、クレアベスト)の代表者もオンラインで参加。
これまで、スイスの金融大手「クレディ・スイス」を主幹事とした機関から借り入れるとしか公表していなかった資金調達計画について、「出資は十分集まる見込みで、計画の実現に自信を持っている」と説明しましたが、委員会は県とクレアベストが融資確約や出資企業の明示を一向に行わないことを問題視し、反対多数で区域整備計画を否決しました。
翌日の県議会本会議でも「資金計画がずさんだ」との意見や、計画・事業者の不透明さを指摘する声が続出し、採決の結果、反対22、賛成18で否決となりました。
IR推進派の自民党が党議拘束なしで採決へ 賛否が割れる結果に
市議会では自民・公明両党の賛成多数で可決した和歌山IRですが、県議会では最大会派かつIRを推進してきた自民党が党議拘束をかけずに採決に臨みました。
このことから、「事業者の不誠実な対応が続き、最後まで不安が解消されなかった」「出資元や資金計画が不明では審査のしようがない」と自民党内より反対する議員が相次ぎ、賛否が割れる結果となりました。
仁坂吉伸和歌山県知事は今回の否決を受け、「和歌山最大の起爆剤にしようと頑張ってきたが、痛恨の極み」とコメント。
今後の和歌山の経済対策などについては「IR計画に全力を尽くしてきたので、次のシナリオがあるわけではない」としながらも、「国による認定申請の追加募集があるなら、またチャレンジしたらいい」と再度誘致に挑む可能性を示唆しました。
和歌山県のIR区域整備計画否決により、最終的な候補地は大阪府・市と長崎県の2箇所となりました。
両自治体とも、期限である4月28日までに国への区域認定申請を行う方針です。