2019年12月、IRを担当する内閣府副大臣、国交省副大臣を務めた秋元司議員が収賄容疑で逮捕される事件が起こりました。
これまでも依存症など様々な問題点が争点となっていたIR政策でしたが、現職議員の汚職が明るみに出て以来、更なる波紋を呼んでいます。
2019年12月、IRを担当する内閣府副大臣、国交省副大臣を務めた秋元司議員が収賄容疑で逮捕される事件が起こりました。
これまでも依存症など様々な問題点が争点となっていたIR政策でしたが、現職議員の汚職が明るみに出て以来、更なる波紋を呼んでいます。日本IR事業への参入を検討していた中国企業「500ドットコム」から現金300万円等の賄賂を受け取ったとして、元IR担当副大臣である自民党・秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕されました。
「500ドットコム」は、秋元議員の他に5名の議員に現金を渡したと供述しており、同時期に前防衛大臣の岩屋毅議員、法務政務官の宮崎政久議員、元郵政民営化担当大臣の下地幹郎議員(日本維新の会)、自民党の船橋利実議員、中村裕之議員にも、それぞれ100万円を渡していたとのことです。
一連の事件によるIRへのイメージの低下は避けられない現状となっている中、特に大きな影響を受けているのが北海道と大阪です。
北海道・留寿都村への影響
今回の汚職事件のまさに渦中となった候補地が北海道・留寿都村です。 「500ドットコム」は、北海道と沖縄へのIR進出を検討し、秋元議員に賄賂を贈り便宜を図ろうとした経緯があります。
さらに、留寿都村のIR計画を先導していたリゾート運営会社「加森観光」の会長・加森公人氏も、秋元議員の留寿都村への観光旅行費の一部を負担したとして贈賄容疑で在宅起訴されています。
留寿都村の誘致の申請主体となる北海道は、2019年末に今回の区域認定への申請見送りを表明ししつつも、今後の申請機会に向けて誘致検討を続けたいとしており、その際は優先としていた苫小牧以外の候補地も視野に入れたいとコメントしています。 事件の渦中となってしまった留寿都村は、再申請の機会があるとすれば計画が白紙からとなってしまう可能性も考えられています。
留寿都村の場谷常八村長は、「このような事件が起き、ショックで遺憾。村のイメージダウンに繋がった」と強い憤りをあらわにしました。
大阪府市への影響
秋元議員以外に献金を受けていた疑いのある議員として日本維新の会の下地幹郎議員の名が挙がっていたことから、当時の日本維新の会代表・松井一郎氏が市長を務めていた大阪にも影響を及ぼしました。
大阪府市は2025年の開催が決定した万博に合わせたIR誘致を掲げ、全国の候補地の中でも先頭を切ってIR誘致を進めてきました。
本事件においては下地議員を日本維新の会から除名処分とし、さらに事業者に接する際の規則を改正しRFP期間中の面会を禁止するなど、クリーンなイメージの徹底に努めています。
事件後も政府はこれまで通りにIR政策は進めるとしつつも、世間の風潮や野党の動向などからスケジュールの遅れに影響を及ぼしました。
野党4党は合同でIR整備法等の撤廃を要求する「カジノ禁止法案」を提出。事件や野党の一連の動きを受け政府は「世論を見極める必要がある」として、1月下旬を予定していた基本方針の策定を3~4月に延期する意向を発表しました。
その後、IR候補地を決定する「区域認定」の申請期間も、当初は2021年1月4日~7月30日と発表されていましたが、2021年10月1日~2022年4月28日に延期。
さらに新型コロナウイルスなどの影響も重なり、IR汚職を皮切りに、IR政策全体として大幅な遅延が発生する形となりました。
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