カジノ法案が可決され、日本にカジノ施設ができる可能性が高くなってきている状況において、一般的な消費者が「カジノ」に対してどういったイメージを抱いているかの調査を実施しました。
1. カジノに関する調査の実施概要と質問項目
今回実施した「カジノに関する意識調査」の概要と質問項目は以下のようになっています。
当調査の実施概要
調査期間 | 2019年11月8日(金)~2019年11月15日(金) |
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調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | 1,200サンプル |
調査対象 | 20歳~59歳の男女 |
対象内訳 | 20代男女 各150名/30代男女 各150名/40代男女 各150名/50代男女 各150名 |
基本情報 | 性別/年齢/年代/都道府県/職業/末既婚/子どもの有無/年収 |
当調査の質問と回答まとめ
<当調査の有効回答数:1,200名>
- Q1:あなたはカジノに対してどのようなイメージがありますか?
- 悪いイメージ:「大金を失う」「治安が悪くなる」etc.
- 良いイメージ:「華やか」「地域活性化」etc.
- Q2:あなたは海外のカジノで遊んだことがありますか?
- ある 17.75%(213名)
- ない 82.25%(987名)
- Q3:Q2の質問で「ある」と答えた方へ
⇒あなたが海外のカジノで遊んだ際に1日で使った最高金額はどれくらいですか?- 10,000円未満 47.89%(102名)
- 10,000円以上~50,000円未満 32.86%(70名)
- 50,000円以上~100,000円未満 11.74%(25名)
- 100,000円以上~500,000円未満 4.23%(9名)
- 500,000円以上~1,000,000円未満 1.41%(3名)
- 1,000,000円以上 1.88%(4名)
- Q4:もし日本にカジノができた場合、あなたは遊びに行きたいですか?
- はい 26.33%(316名)
- いいえ 73.67%(884名)
- Q5:Q4の質問で、そう答えた理由を教えてください。
- 行きたい理由:「楽しそう」「気分転換」「儲けたい」etc.
- 行きたくない理由:「危ない」「ぼったくられる」「ギャンブルが嫌い」etc…
当調査は、回答に偏りが出ないよう、年代(10歳単位)と性別で回答数が均等になるように調整されています。
基本的には
「Q2:あなたは海外のカジノで遊んだことがありますか?」
「Q4:もし日本にカジノができた場合、あなたは遊びに行きたいですか?」
という2つの質問が軸になっています。
ここでは、この2つの質問に対する回答を中心に分析をしていきたいと思います。
まずは、当調査全体において見られた傾向の中で際立ったポイントを挙げてみましょう。
2. カジノ意識調査で際立ったポイント
1.カジノに関する知識は希薄で、イメージだけで判断している人が多い
まず当調査にて目立った傾向としては、カジノがどういった場所なのか、どのような客層が利用する施設なのかのはっきりとした知識はなく、ドラマや映画、メディアからの情報からくるイメージだけで判断している人が多いようです。
実際に、1200名の調査対象者に対して、海外のカジノに実際に行ったことがある人は17.67%にとどまり、カジノ経験者の約半数が1日の賭け金額は1万円までという結果になりました。
8割以上の人はカジノを実際に体験したことはなく、イメージによる回答結果となっています。
2.カジノを体験している人ほど、日本のカジノに対する支持は高い傾向
海外のカジノで遊んだことがある人の中においても、日本にカジノができた際に行きたいと答えた人は約50%でした。
対して、海外のカジノで遊んだことがない人の中で、日本にカジノができた際に行きたいと答えた人は約20%だったため、カジノを実際に体験している人の方が、日本のカジノを支持する傾向にあると言えます。
3.年齢・年代によってカジノに対するイメージが微妙に異なる
カジノに対する支持がどうあれ、年齢や年代によってカジノに対するイメージが微妙に異なっているようです。
20代においてカジノに対する良いイメージは「楽しそう・華やか」、悪いイメージについては「怖い、分からない」という抽象的で自身の立場としての意見や表現が目立ちました。
それに対して40代以上の場合、良いイメージが「地域経済に寄与する」「地域活性化に繋がる」、悪いイメージについては「治安が心配」「現代の日本社会には不要」といった、自身のまわりの環境や社会からみた意見が多くなっています。
3. 性別・年代・年収別のクロス集計まとめ
ここからは、本調査における回答結果をより深く分析してみたいと思います。
当調査における軸となる
「Q2:あなたは海外のカジノで遊んだことがありますか?」
「Q4:もし日本にカジノができた場合、あなたは遊びに行きたいですか?」
という2つの質問の回答を、性別・年代・年収で抽出し、見られた傾向をまとめていきます。
海外のカジノで遊んだことがあるか
- ある 213名 17.75%(男性:66.20% 女性:33.80%)
- ない 987名 82.25%(男性:46.50% 女性:53.50%)
カジノ経験者は少なく、経験者は男性が圧倒的に多い。
カジノ施設のない日本では当然の結果と言えますが、実際のカジノを経験したことがある人はまだまだ少ないようですね。
また経験者に絞った男女比においても男性が圧倒的に多く、こちらもイメージ通りという調査結果となりました。
「ある」と回答した人の年代別集計
※()内の数字は回答者全体の割合
- 20歳~29歳 42名 19.72% (25%)
- 30歳~39歳 56名 26.29% (25%)
- 40歳~49歳 50名 23.47% (25%)
- 50歳~59歳 65名 30.52% (25%)
30代と50代で回答者全体の割合を上回る結果に
当調査における対象者の年代は均等に割り振られており、各年代が25%ずつとなっています。
カジノ経験者の割合と比べると、30代と50代で全体の割合を上回る結果となりました。
「ある」と回答した人の年収別集計
※()内の数字は回答者全体の割合
- ~200万円 31名 14.55%(30.42%)
- 200~400万円 49名 23.00%(28.67%)
- 400~600万円 52名 24.41%(21.50%)
- 600~800万円 31名 14.55%(10.17%)
- 800~1200万円 39名 18.31%(7.00%)
- 1200~2000万円 9名 4.23%(1.50%)
- 2000万円~ 2名 0.94%(0.75%)
年収が高いほど、カジノ経験者の割合は回答者全体の割合を上回る傾向
当調査は、年収の開示が可能な方が対象者となっています。
回答者全体の年収別の割合とカジノ経験者の割合を比べると、年収で400万を超えたところから変化がありました。
特に年収200万円までの層と年収800~1200万円の層において、全体の割合との著しい相違が見られます。
日本にカジノができたら行きたいか
- 行きたい 316名 26.33%(男性:77.85% 女性:22.15%)
- 行きたくない 884名 73.67%(男性:40.05% 女性:59.95%)
カジノに行きたいと答えた人の大半は男性
日本にカジノにできた際に行くかどうかの質問に関しても、海外のカジノ経験の有無に関する質問と同様に、男性が圧倒的に多いという結果となりました。
「行きたい」と回答した人の年代別集計
※()内の数字は回答者全体の割合
- 20歳~29歳 109名 34.49% (25%)
- 30歳~39歳 90名 28.48% (25%)
- 40歳~49歳 66名 20.89% (25%)
- 50歳~59歳 51名 16.14% (25%)
比較的若い世代で回答者全体の割合を上回る結果に
実際に行くか行かないかは別として、「行きたいかどうか」の回答を求めた結果、日本のカジノに興味を持っているのは若い世代であることが分かりました。
「行きたい」と回答した人の年収別集計
※()内の数字は回答者全体の割合
- ~200万円 43名 13.61% (30.42%)
- 200~400万円 93名 29.43% (28.67%)
- 400~600万円 87名 27.53% (21.50%)
- 600~800万円 48名 15.19% (10.17%)
- 800~1,200万円 37名 11.71% (7.00%)
- 1,200~2,000万円 6名 1.90% (1.50%)
- 2,000万円~ 2名 0.63% (0.75%)
年収が高いほど、カジノに行きたい人の割合は回答者全体の割合を上回る傾向
こちらも海外でのカジノ経験の有無に関する質問と同様、年収400万を超えたところから全体の割合を上回ります。
ある程度の年収を超えなければ、カジノを現実的なものと捉えることは難しいようです。
4. カジノのイメージなどに関する自由回答
今回の意識調査において、「カジノに対するイメージ」と「日本にカジノにできたら行きたいかという回答に対する理由」の2つの自由回答を用意しました。
カジノに対してどのようなイメージがあるか
カジノに対する回答の傾向としては以下の種類に分けられます。
<良いイメージ>
- 楽しそう、運試し
- 華やか、ゴージャス、非日常を味わえる
- 地域活性化、雇用が生まれる
- 国の財源確保
<悪いイメージ>
- 大金を失う、借金をする、家庭が壊れる、不幸になる
- 治安が悪くなる、犯罪が増える
- 自分には関係がない、お金持ちの娯楽
- 中毒性がある、依存性がある
日本にIRリゾート施設を誘致しようとしている自治体としては、「地域活性化/経済効果」「雇用の創出」などを訴えているものの、そういったイメージはほぼありません。
ギャンブルにたいするイメージの悪さの方が先行しているような印象です。
比較的若い年代においては、「楽しそう」「華やか」といった興味本位でのイメージが全体の割合からすると多くなり、50代の男性に絞ってみてみると「地域活性化に貢献する」「今の日本に必要」といったような社会全体から見た意見も少し増える傾向にありました。
「日本にカジノにできたら行きたいか」という質問の回答に対する理由
日本にカジノができたら行きたいかという質問に対して、なぜそう答えたのかの理由も聞いてみました。
<行きたい人の理由>
- 楽しそう、面白そう
- 社会勉強、一度は行ってみたい
- ストレス解消、暇つぶし、気分転換
- 一攫千金を狙いたい、勝てるかもしれない
- 儲けたい、稼げる
<行きたくない人の理由>
- 興味がない
- 怖い、危ない
- 時間とお金の余裕がない
- お金がなくなる、負ける、ぼったくられる
- 依存症になりそう、はまりそう
- ギャンブルが嫌い
ギャンブルに対するイメージの強さが先行している結果となりました。
「カジノ」に対する意見というよりも、「ギャンブル」をするかしないか、という回答が目立ちます。
カジノはリゾート施設の一部として作られるため、国や自治体としては観光や娯楽というイメージを売り出したいところですが、その道のりは厳しそうです。
5. 調査の実施概要詳細
調査主体 | 日本カジノ研究所 |
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調査内容 | カジノに関する意識調査 |
調査地域 | 全国 |
調査対象者 | 20歳~59歳の男女 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2019年11月8日(金)~2019年11月15日(金) |
有効回答数 | 1,200サンプル |
回答者属性 | 20代男女 各150名/30代男女 各150名/40代男女 各150名/50代男女 各150名 |