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【2023年最新】大阪IR・カジノ開業の進行状況や課題を徹底解説|日本カジノ研究所

大阪府・市が2022年4月に申請していたIR区域整備計画について、約1年の審査期間を経て、正式な認定が下りました。
国内初のカジノを含むIR施設開業に向け、準備を進めている状況です。

大阪のIR・カジノ開業に関するニュースが増えてきた中で、実際にどこに・どんな施設ができるのか、今後のスケジュールについてなど、詳細が気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大阪のIR開業計画の詳細や、完成までのスケジュール、カジノ開業によるメリット・デメリットなど、最新情報をまとめて解説します。

目次

大阪のIR・カジノ開業に向けた進行状況

2023年4月14日、大阪府・大阪市が申請していた「カジノを含む特定複合観光施設(IR)区域整備計画」が政府の認定を受けました。 2023年9月には、IR開業への工程などを定めた実施協定についても、国からの認可が下りています。

順調に計画が進めば、大阪に国内初のカジノが誕生することとなるでしょう。

今後は課題となる地盤対策工事や、施設工事に着手予定。並行して、カジノ運営に必要な免許申請の手続きも進めていきます。
国からのカジノ免許交付や施設の完成検査をクリアした後、正式な開業に至ります。

大阪府・市の計画では、2030年秋ごろの開業を目指しています。

大阪のカジノができる場所は?

大阪のカジノを含むIR施設は、大阪市此花区にある約390㎡の人工島「夢洲(ゆめしま)」での建設が予定されています。
夢洲は元々、ごみ処理場として利用するために埋め立てられた土地でした。

1980年代に夢洲一帯を有効活用すべく開発計画が持ち上がったものの、計画が頓挫したという過去があります。さらに、2008年のオリンピック誘致の際にも、競技場や選手村として利用する計画もありましたが、誘致は失敗しています。
長らく活用方法がなかった夢洲は、「大阪の負の遺産」とまで言われてきました。

2025年の万博誘致が決まりIR候補地にもなった今では、土地の有効活用と経済効果が期待されています。

IR建設予定地「夢洲」へのアクセス

夢洲へは現状、バスまたは車でしかアクセスできないことから、交通の不便さが問題視されていました。しかし2025年の万博開催に向けて、大阪メトロ中央線が路線の延伸を発表。

コスモスクエア駅~夢洲(仮)駅に向けて約3kmの延伸が決まったことで、電車でのアクセスもしやすくなる見込みです。

さらに大阪のIR計画が認定されたことで、大阪メトロ以外の各鉄道会社も、路線延伸や新型車両開発に向けた計画を検討しています。

鉄道会社 大阪IRに向けた計画

大阪メトロ進行中

中央線「コスモススクエア」~「夢洲(仮)」駅間の延伸

京阪電鉄検討中

中之島線を大阪メトロ中央線「九条」駅に延伸

JR西日本検討中

桜島線「舞洲」~「夢洲(仮)」駅間の延伸

近鉄検討中

奈良線とけいはんな線を接続させ、「奈良」~「夢洲(仮)」駅間の直通列車を開発

計画が実現すれば、関西各地からのアクセスが改善され、万博・IRへの来場者数増加が期待できます。

大阪にカジノができるのはいつ?完成までのスケジュール

2022年4月に大阪府・市が申請した計画では、2029年秋~冬ごろのIR開業が想定されていました。
しかし、政府の認定審査が長期化したことにより、工程に約半年間の遅れが生じました。

大阪府・市は2023年9月に公表した実施協定案にて、開業予定時期を「2030年秋ごろ」に延期することを決定。
現時点では、以下のスケジュールが想定されています。

時期 工程(想定)
2023年秋ごろ 地盤の液状化対策工事に着手
2025年春ごろ 施設本体工事に着手
2030年夏ごろ 施設本体工事の完了
2030年秋ごろ IR施設の開業

今後、工事の進捗状況によっては、開業がさらに後ろ倒しになる可能性も示唆されています。

大阪IR・カジノ施設の詳細

出典:大阪府公式ホームページ

IR施設内には、カジノや国際会議場、ホテルやシアター、ショッピングモールなどが建設される予定です。

コンセプトは「結びの水都」。人や産業などあらゆるものを結ぶ起点としての役割と、大阪の伝統・文化・精神の継承などが意味に込められました。
夢洲ならではの豊かな自然を随所に取り入れた、新たな都市型リゾート空間を目指しています。

カジノ施設の詳細についてはまだ公表されていませんが、IR施設全体の面積のうち、3%以内の広さとなることが決定しています。

参照:大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画|大阪府・市

大阪IRにはどんな施設ができる?

IR施設内は「関西ゲートウェイゾーン」「イノベーションゾーン」「ウォーターフロントゾーン」「結びの庭ゾーン」の4つに分けられ、以下のような施設が配置される予定です。

ゾーン 主な配置施設
関西ゲートウェイ MGM大阪等のホテル、カジノ施設、飲食施設、シアターなど
イノベーション 国際会議施設(総収容人数12,000人超)、展示等施設などのMICE施設
ウォーターフロント 関西アート&カルチャーミュージアム、フェリーターミナルなど
結びの庭 オープンスペース、商業店舗等

海外のIRでショーやスポーツイベント、ライブコンサートなどを開催しているように、大阪IRも幅広い層が楽しめるエンターテインメント施設になることが期待されます。

また、ビジネス・ファミリー層向けのホテルから、富裕層向けのホテルまで、多様なニーズに応えた宿泊施設を配置予定。来場者が長期滞在を楽しめるサービスの充実を図ります。

IR事業の意義と目標

大阪府・市は大阪IRの目標として、以下の3点を掲げています。

  • 世界水準のオールインワンMICE拠点の形成

    →大阪・関西の経済成長を牽引するMICEの新たな誘致・開催等

  • 国内外の集客力強化への貢献

    →大阪における訪日外国人旅行者数や旅行消費額の更なる増加等

  • 日本観光のゲートウェイの形成

    →大阪IRへの来訪者を各地に送り出し、IR立地に伴う集客効果を各地に相乗的に波及

カジノを含むIR施設を建設・開業することで、コロナ禍で低迷した観光需要の回復や、旅行・観光産業の活性化を実現することを目指します。
また、IR施設に集客することで、大阪だけでなく、国内全体の経済活性化にも貢献できると考え、計画を進めています。

カジノ施設の入場料・設置サービス

IR区域内に設置されるカジノ施設の入場料や入場可能年齢、設置ゲーム台数は以下のとおりです。

入場料 日本人:6,000円、訪日外国人:無料
入場可能年齢 20歳以上
入場可能回数 週3日 / 月10回まで
設置ゲーム台数 テーブルゲーム約470台、電子ゲーム約6,400台

入場時は、マイナンバーカードまたはパスポート等による本人確認や、入場料の徴収を実施。さらに、年齢制限への違反や入場可能回数の超過、反社会勢力に該当しないか等もチェックされます。

入場制限を厳格化することで、ギャンブル依存症増加を抑える効果が見込まれます。

施設内ではバカラ・ルーレット・スロットなど人気のカジノゲームを一通り楽しめるほか、来訪者の利便性を考慮し、飲食店や酒類を提供するサービスバーを配置。
24時間365日利用可能な相談施設も設けることで、来訪者の不安解消や依存症予防の仕組みも確立する予定です。

日本でのカジノ開業は初めての事例となりますが、ラスベガスやマカオなどでIR事業を手がける「MGMリゾーツ・インターナショナル」がノウハウを提供するため、高レベルなカジノ運営が期待できます。

IR・カジノ事業の概要データ

大阪府・市が計画しているIR事業の概要は以下のとおりです。

初期投資額 1兆2,700億円
IR施設全体の面積 床面積約770,000㎡、敷地面積約492,000㎡
カジノ施設の面積 全体の床面積約65,000㎡、
ゲーミング区域の床面積約23,000㎡
年間売上 約5,200億円
年間来場者数 約2,000万人(国内 約1,400万人、国外 約600万人)
雇用者数 約15,000人
納付金・入場料(府・市合計) 約1,060億円/年(給付金740億円、入場料320億円)
事業期間 35年(最大30年間の延長申請可)

運営事業者「大阪IR株式会社(MGM・オリックスのコンソーシアム)」とは

大阪のIR事業を運営するのは、「大阪IR株式会社」。中核株主はアメリカのIR事業大手「MGMリゾーツ・インターナショナル」日本法人と、オリックス株式会社です。

MGMリゾーツはラスベガスに拠点を置く企業で、「MGMグランドホテル&カジノ」など、世界各地でホテルやカジノ、エンターテインメント施設を運営しています。
運営施設数は29件以上、年間売上は約1兆円以上とIR分野での十分な実績があり、現在では日本でのIR事業参入を見込んで東京・大阪にも支社を設立。
横浜がIR誘致に参戦した際に、ほかの事業者が続々と大阪から撤退した中でも、変わらず大阪を選択し続けた唯一の企業です。

また、オリックスは関西で空港や球場などの運営に携わっているほか、大阪駅前の大規模開発プロジェクトである「うめきた2期」にも開発企業として参加しています。

大阪IRにはMGM・オリックスのほか、小核株主となる関西電力やパナソニック、NTT西日本など合計20社が出資を決めており、今後さらに出資企業が増える可能性も考えられます。

大阪IR・カジノ開業のメリットと経済効果

大阪でカジノを含むIR施設を開業することで、以下2つのメリットがあると考えられます。

  • 売上による地域経済への波及効果
  • 雇用創出による経済効果

売上による地域経済への波及効果

IR開業により、大阪の地域経済への波及効果が期待されます。

大阪府・市の計画によると、IR開業3年目期における事業全体の売上高は約5,200億円、純利益約750億円が見込まれています。売上高のうち、カジノ事業の収益は約4,200億円で、全体の約8割を占めるとされています。

また、年間約2,000万人の来場者数を見込み、IR事業者から大阪府・市に入る納付金と入場料の合計は約1,060億円を想定。

実現すれば府・市にとって巨額の収入となるため、観光や地域経済・文化芸術の振興、子育て・教育制度の改善など、多くの事業で使用する方針です。

雇用創出による経済効果

IR開業においては、カジノ以外にもMICE施設、商業施設、飲食施設、ホテル、劇場など多数の施設が整備されます。
各施設で働く従業員が必要となるため、大きな雇用創出効果が見込まれます。

大阪府・市は、IR開業により約15,000人の雇用を創出するとしています。
また、近畿圏全体では約93,000人の雇用創出を想定しており、雇用増による経済効果も期待できるでしょう。

大阪IR・カジノ開業のデメリットと課題

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IR開業による高い経済効果が見込まれる一方で、以下のようなデメリットや課題も抱えています。

  • 夢洲の液状化・地盤沈下等のリスク
  • ギャンブル依存症増加の懸念
  • カジノ反対派の運動は継続中

夢洲の液状化・地盤沈下等のリスク

夢洲にはかねてより液状化や土壌汚染、地盤沈下などのリスクがあり、「このまま夢洲への誘致を進めるのは危険だ」と指摘されてきました。
大阪市は土壌汚染対策として360億円、液状化対策として410億円、地中埋設物の撤去費用として20億円の合計790億円もの費用を公費で負担することを発表。

また、地盤沈下に関しては高難度の技術検討が必要であり、技術的に未知であることから、費用の上限が見えていません。

巨額の公費が投資されることや、790億円という金額が「地盤沈下対策を含まない費用」であることから、一部市民からは強い反発の声が届いています。
現状不透明となっている地盤沈下対策費用について、早期の検討が求められます。

ギャンブル依存症増加の懸念

大阪のカジノ開業にあたり、長期にわたり懸念されているのがギャンブル依存症の問題です。
厚生労働省が2021年に実施した調査では、ギャンブル依存症が疑われる人の割合は、成人の2.2%程度いるという結果が出ました。

大阪府・市の計画によると、IR開業後のカジノ収益の一部はギャンブル依存症対策に充てられる予定です。
また、依存症対策の支援センターを新設し、関係機関との連携強化にも努める予定とされています。

しかし依存症を防ぐための早期取り組みや、早期発見・介入対策については曖昧さが指摘されており、今後の具体化が課題となっています。

カジノ反対派の運動は継続中

大阪のカジノ開業については、夢洲の土壌問題や治安悪化、ギャンブル依存症などの懸念から、以前より複数の市民団体が抗議運動を行ってきました。

反対派の市民団体の1つ『カジノに反対する大阪連絡会』は、「大阪カジノ誘致計画を認定した岸田首相と国土交通大臣に断固抗議する」との声明を発表し、IR誘致の中止実現に向けて粘り強く戦う姿勢を示しています。

また、夢洲の土地をめぐっては、「不当に安い価格で貸す契約を結んでいる」として、2023年4月、市民10人が住民訴訟を起こしました。
市民らは、「土地の鑑定額がIRを考慮せずに算出されており、不当に安い価格になっている」と主張したほか、「鑑定を依頼した4社のうち3社で鑑定額が一致したのは不自然であり、市側の誘導による違法行為だ」と訴えています。

カジノ開業や土地問題をめぐる反対運動は依然として続いており、今後府民・市民の理解をどのように得ていくかが課題とされています。

大阪のカジノ賛成派・反対派の割合と理由は?

カジノ反対派の動きが活発化していた流れを受け、当サイトでは2021年11月、大阪へのIR(カジノ)誘致に関するアンケートを実施しました。
大阪にカジノができることに対する賛成派・反対派の割合は、年代や居住地でわずかに差はあるものの、ほぼ半数ずつという結果が出ています。

賛成派の意見としては「経済効果がある」「大阪の地域活性化に繋がる」、反対派の意見としては「治安が悪くなりそう」「依存症問題が心配」といった内容がみられました。

アンケート結果の詳細は、「【独自調査】大阪・夢洲地区のIR(カジノ)政策に関するアンケート」にてご確認ください。

大阪のIR・カジノ開業計画については国の認定審査が長期化し、先行きの見えない状況が続いていましたが、2023年4月、正式な認定を受けました。
今後は国内初のカジノを含むIR施設開業に向け、手続きや施設工事を進める予定です。

当初の計画では2029年秋~冬頃の開業を想定していましたが、認定時期が遅れた影響により、2030年秋ごろの開業予定に変更となりました。

また、大阪のカジノ開業にあたっては、売上や雇用創出による高い経済効果が期待される一方で、建設予定地である夢洲の土壌問題やギャンブル依存症増加の懸念、継続しているカジノ反対派の運動など、さまざまな課題も残っています。

当サイトでは今後も、大阪のIR・カジノに関する最新の情報をお届けしていきます。

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