F1

日本でのF1グランプリは鈴鹿サーキットで開催されていることをご存知の方は多いと思います。鈴鹿サーキットは三重県鈴鹿市にある国際レーシングコースを中心としたレジャー施設で、F1日本グランプリの他にも鈴鹿8時間耐久ロードレースなどでも有名です。

それがなんと、F1日本グランプリの開催地が変更になるかもしれないという可能性が浮上してきています。その変更先として名が上がっている場所とは「山下ふ頭(やましたふとう)」。神奈川県横浜市にあり、すぐ近所に横浜中華街や横浜マリンタワーがあり、赤レンガ倉庫からも徒歩圏内、羽田空港から約20分と非常にアクセスしやすい場所です。

しかしそもそもなんでこんな話になっているのでしょうか?

ことの発端はIR問題にあります。

2019年8月、横浜市の林文子市長がIRの誘致を表明し、それに対して「ハマのドン」という異名を持つ横浜港運協会の藤木幸夫氏が、「山下埠頭は我々の聖地。命を懸けて反対する!」と怒りの緊急会見を行いました。

また横浜港運協会常務理事の水上裕之氏は、「カジノが儲かって国際会議や展示会が儲からないという横浜市の説明はカジノ業者の受け売りで、子どもたちが健全に育つためにはF1やディズニーの方が良い」という考えを示しています。

では現実的なスケジュールの面から見てみましょう。もしF1日本グランプリを横浜で開催するとしたら、当然横浜市の許可が必要になってきます。許可が出てからも会場を整備しなくてはいけませんから、今すぐ取りかかれば3年後ぐらいになります。

一方、カジノはどうでしょう?コロナ禍のこともあり遅れに遅れているので、今や本当に日本でカジノができる日がくるのかさっぱり分かりませんが、計算上ではカジノの設営が完了するのは2025年ともそれ以降とも言われています。ですから数字だけ見る限りは、F1の方が現実的です。

また市民の反応の面から見ると、横浜市は2011年6月に日本初となる公道F1デモ走行を実施しており、約1万1000人の観客が訪れたという実績があります。F1に対して市民の好意的な姿勢が見て取れますね。

対してカジノですが、横浜市が一般からの意見を募集したところ、94%がカジノに否定的という回答が出ています。水上氏のいう通り、どうせやるならカジノなんかより、F1やディズニーの方が良いと考えている一般市民が多いということです。

では目線を変えて、F1のプロから見た意見はどうでしょうか?元F1ドライバーの鈴木亜久里氏は、F1日本グランプリを横浜で開催するという計画に大賛成されています。

鈴木氏は何より横浜という立地条件の良さを指摘しており、コース自体も問題ないとプロ目線で分析されています。世界トップクラスの観光地になるとまで予測、「僕はめちゃくちゃ応援する」と姿勢は前のめりです。

とはいえ、今年10月に三重県鈴鹿サーキットで予定されていた日本グランプリは、新型コロナウイルスの影響で中止となることが6月12日に主催者側から発表されました。

いろんな事柄が複雑に絡み合ったIR誘致とF1。果たしてどう問題が解決されるのか、これからの動向に目がはなせません。